スプリンターズSの展望
私の思い出深いスプリンターズSといえば、1998年マイネルラヴが勝ったスプリンターズSです。当時、最強マイラー、タイキシャトルの引退レースで単勝1.1倍の支持。私も名馬の引退レースで強いタイキシャトルを見たいとわくわくしながらレースをみていました。
レースは、いつも通り4角で先頭に並びかけ、抜け出しを図る王道の展開。しかし、4角で外から並びかけたマイネルラヴが壮絶なたたき合いで、一度はくらいつくタイキシャトルとさらに外から差してきたシーキングザパールを頭差しのいで勝利。
マイネルラヴは鞍上が武豊騎手から吉田豊騎手に乗り替わり、西のユタカにフラれたマイネルラヴが東のユタカを背に逆襲を果たすというドラマもありました。
1分10秒に満たない電撃の6ハロン戦に、今年はどんなドラマがあるのでしょうか?
スプリンターズSの展望をしていきたいと思います。
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1.過去6年の入着馬
過去6年の入着馬一覧です。※2014年は新潟開催
2017年 | FP | SP | AP | AM | 差 | 枠番 | 馬番 | 馬名S | 通過順 | 走破タイム | 上り3F |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | S+ | 0 | 4 | 8 | レッドファルクス | 11-10 | 1076 | 33.0 | ||
2 | 2 | B | 9 | 1 | 2 | レッツゴードンキ | 09-07 | 1076 | 33.1 | ||
3 | 4 | D | 16 | 3 | 6 | ワンスインナムーン | 01-01 | 1077 | 33.8 | ||
2016年 | FP | SP | AP | AM | 差 | 枠番 | 馬番 | 馬名S | 通過順 | 走破タイム | 上り3F |
1 | 15 | 7 | 13 | レッドファルクス | 09-07 | 1076 | 33.5 | ||||
2 | 1 | 23 | 8 | 15 | ミッキーアイル | 01-01 | 1076 | 34.2 | |||
3 | 3 | 15 | 2 | 4 | ソルヴェイグ | 02-04 | 1076 | 34.0 | |||
2015年 | FP | SP | AP | AM | 差 | 枠番 | 馬番 | 馬名S | 通過順 | 走破タイム | 上り3F |
1 | 5 | 2 | B+ | 5 | 1 | 2 | ストレイトガール | 08-09 | 1081 | 33.1 | |
2 | 13 | 2 | 4 | サクラゴスペル | 05-06 | 1082 | 33.4 | ||||
3 | 24 | 3 | 6 | ウキヨノカゼ | 13-12 | 1083 | 32.8 | ||||
2014年 | FP | SP | AP | AM | 差 | 枠番 | 馬番 | 馬名S | 通過順 | 走破タイム | 上り3F |
1 | 2 | 30 | 8 | 18 | スノードラゴン | 11-10 | 1088 | 33.9 | |||
2 | 4 | 4 | D | 10 | 5 | 9 | ストレイトガール | 09-10 | 1089 | 34.2 | |
3 | 20 | 7 | 13 | レッドオーヴァル | 05-05 | 1089 | 34.5 | ||||
2013年 | FP | SP | AP | AM | 差 | 枠番 | 馬番 | 馬名S | 通過順 | 走破タイム | 上り3F |
1 | 3 | 3 | Q+ | 11 | 5 | 10 | ロードカナロア | 07-05 | 1072 | 33.8 | |
2 | 1 | 2 | 23 | 4 | 7 | ハクサンムーン | 01-01 | 1073 | 34.4 | ||
3 | 22 | 3 | 5 | マヤノリュウジン | 05-05 | 1073 | 34.0 | ||||
2012年 | FP | SP | AP | AM | 差 | 枠番 | 馬番 | 馬名S | 通過順 | 走破タイム | 上り3F |
1 | 3 | 2 | 16 | 8 | 16 | ロードカナロア | 08-09 | 1067 | 33.4 | ||
2 | 3 | 17 | 7 | 14 | カレンチャン | 05-05 | 1068 | 33.7 | |||
3 | 1 | 2 | B | 9 | 2 | 3 | ドリームバレンチノ | 08-09 | 1069 | 33.5 |
レッドファルクスにスプリンターズS史上初の3連覇がかかります。
毎年1頭はAP指数下位かつ推定SP下位の馬が絡んでおり、傾向が出にくそうな印象を持つレースです。
2.AP指数戦績一覧
AP競馬新聞の基本指数であるAP指数、推定FP、推定SPや枠順や前走距離別の戦績をまとめ、傾向分析のためのキーワードを探っていきます。データは新潟開催の2014年を除く、2012年~2017年のデータを使います。
[AP指数順位別]
順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
1 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0 | 20.0 | 20.0 |
2 | 1- 1- 1- 3/ 6 | 16.7 | 33.3 | 50.0 |
3 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0 | 20.0 | 20.0 |
4 | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0 | 0.0 | 16.7 |
4位以内 | 3- 1- 2-16/22 | 13.6 | 18.2 | 27.3 |
5位以下 | 2- 4- 3-48/57 | 3.5 | 10.5 | 15.8 |
AP指数4位以内で複勝率27%程度で、下位より2倍程度優位。うまく他の条件と組み合わせて傾向が出るか微妙なところです。
[推定FP順位別]
順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
1 | 0- 2- 0- 5/ 7 | 0.0 | 28.6 | 28.6 |
2 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
3 | 1- 1- 0-10/12 | 8.3 | 16.7 | 16.7 |
4 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
5 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
5位以内 | 1- 3- 0-21/25 | 4.0 | 16.0 | 16.0 |
6位以下 | 4- 2- 5-43/54 | 7.4 | 11.1 | 20.4 |
推定FP下位の方がわずかに複勝率が高く、中団待機馬に少しだけ分がありそうです。
[推定SP順位別]
順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
1 | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0 | 0.0 | 16.7 |
2 | 1- 1- 0- 3/ 5 | 20.0 | 40.0 | 40.0 |
3 | 1- 0- 1- 3/ 5 | 20.0 | 20.0 | 40.0 |
4 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
5 | 1- 0- 0- 3/ 4 | 25.0 | 25.0 | 25.0 |
5位以内 | 3- 1- 2-20/26 | 11.5 | 15.4 | 23.1 |
6位以下 | 2- 4- 3-44/53 | 3.8 | 11.3 | 17.0 |
推定SP5位以内がわずかに6位以下よりも複勝率が高くいですが、そこまで強い傾向とは言えません。スプリント戦全体に見られる特徴ですが、推定SPの高さをそこまで必要としていません。
[高関連度AP指数順位別]
順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
4位以内 | 2- 4- 0-31/37 | 5.4 | 16.2 | 16.2 |
5位以下 | 3- 1- 5-33/42 | 7.1 | 9.5 | 21.4 |
中山芝1200mとのコース関連度の高いコースでマークされたAP指数はあまり重要ではありません。特殊なコース形態なのでもっと強く傾向が出るかと思いましたが、この結果は意外です。
[枠別]
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
1枠 | 1- 1- 0- 8/10 | 10.0 | 20.0 | 20.0 |
2枠 | 0- 1- 2- 7/10 | 0.0 | 10.0 | 30.0 |
3枠 | 0- 0- 3- 7/10 | 0.0 | 0.0 | 30.0 |
4枠 | 1- 1- 0- 8/10 | 10.0 | 20.0 | 20.0 |
5枠 | 1- 0- 0- 8/ 9 | 11.1 | 11.1 | 11.1 |
6枠 | 0- 0- 0-10/10 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
7枠 | 1- 1- 0- 8/10 | 10.0 | 20.0 | 20.0 |
8枠 | 1- 1- 0- 8/10 | 10.0 | 20.0 | 20.0 |
内枠、外枠まんべんなく馬券に絡んでいます。枠による傾向はみえません。
AP指数、推定SPを使って傾向が出るか?かなり緩い傾向になりそうなので、分析が難しそうです。
3.AP指数的買い!と消し!
ここでは買い条件、消し条件を以下のようなマークで示していきます。
鉄板 複勝率80%以上の極上買い条件
買い 複勝率66%以上の買い条件
消し 複勝率10%未満の消し条件
超消 複勝率3%未満の超消し条件
買い、消しを2段階に分け、明確な数値基準を設けていますので、このマークに着目して読み進めてください。
超消① 推定FP5位以内で推定SP6位以下の1-6枠
どんな条件を組み合わせても買い条件が出てこなかったので、消し条件から。推定FP5位以内で複勝率が落ちたので、この条件を使っていきます。推定SPで層別してみます。
[推定SP順位別]
順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
5位以内 | 1- 1- 0- 4/ 6 | 16.7 | 33.3 | 33.3 |
6位以下 | 0- 2- 0-17/19 | 0.0 | 10.5 | 10.5 |
推定SP6位以下になると5位以内より20%近く複勝率が低下します。これに枠別で層別してみます。
[枠別]
枠 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
1-3枠 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
4-6枠 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
7-8枠 | 0- 2- 0- 7/ 9 | 0.0 | 22.2 | 22.2 |
1-6枠は10頭いましたが、1頭も3着以内なしの超消条件になりました。この10頭の中には、2018年セイウンコウセイ(3人気11着)、2018年ダイアナヘイロー(4人気15着)、2016年ビッグアーサー(1人気12着)など人気どころも含まれており、かなり強い消し条件だと思います。
推定FP上位で先行するのであれば、推定SPの裏付けがないと抜け出してこれないというデータです。
消し① 推定FP5位以内でAP指数5位以下の1-6枠
先ほどの超消条件の仮説が正しいとすれば、抜け出すための能力、AP指数が不足していても戦績が落ちるはずです。
[AP指数5位以下の枠別]
枠 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
1-3枠 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
4-6枠 | 0- 1- 0- 7/ 8 | 0.0 | 11.1 | 11.1 |
7-8枠 | 1- 2- 0- 3/ 6 | 16.7 | 50.0 | 50.0 |
複勝率で6.7%と消し条件に該当しました。仮説の通り、AP指数が不足しても戦績が低下することが分かりました。
その他、AP指数、推定FP、枠別に組み合わせてみましたが、買い条件まで届く条件にはなりませんでした。
こうなってくると積極的に軸馬を選出するレースというよりも、消去法で残った馬から手広くいく方が馬券戦術としては良いかもしれません。それとも、レースを見送るという方が賢明かもしれません。
4.主な登録馬の短評
スプリンターズS登録馬の一覧とAP指数は以下のリストを参照ください。
AP指数は補正前の生値であることをご了承ください。赤字はプラス要素、青字はマイナス要素。
レッドファルクス
4走前のマイルチャンピオンシップで0.4秒差8着、AP指数90をマークし、メンバー最上位。
前走が安田記念で休養明けで臨むローテーションは昨年と同じ。ただし、その安田記念のAP指数は、昨年が91に対して今年が82と大きく下がっており、能力低下している可能性がある。春は安田記念を含め、戦績がイマイチであったことも気がかり。
ここ4走が後方からの競馬なので推定FPは間違いなく6位以下、消し条件にかかることはなさそう。3連覇がかかり、とても注目してはいるが、推しの要素が少ない。
ファインニードル
4走前のシルクロードSで1着、AP指数78をマークしたのが、ここ4走で最高値。
前走のセントウルSでラブカンプーの前半33.3秒というハイペースを好位で追走し、直線で外から楽に抜け出してきて、AP指数73をマーク。昨年もセントウルSを勝っているが、このときがAP指数84、実は昨年よりはパフォーマンスが低下している。
昨年よりもメンバーが弱体化しており、今回のメンバーならば通用する可能性はある。推定SPは常に上位に入っており、今回も推定SP上位ならば、少なくとも消し条件には該当しない。
春のスプリント王がどんな走りをするか期待している。
ワンスインナムーン
前走の朱鷺Sで逃げ切り1着、自己最高のAP指数77をマーク。
昨年のスプリンターズSも逃げて3着で、臨戦過程も朱鷺Sから直行と同じローテーション。昨年の朱鷺SのAP指数が57、今年は大幅に指数を上昇させて、能力の底上げがうかがえる。
おそらく推定FPは5位以内になるが、AP指数が4位以内か、推定SPが5位以内にはなりそうな指数の出方で、消し条件に該当することはなさそう。
昨年はうまくペースを落として逃げ込んだが、今年は出脚で勝るラブカンプー、キーンランドCで逃げて初重賞制覇したナックビーナスがいて、おそらく昨年のようなペースは見込めない。同型に絡まれたときは、CBC賞や函館スプリントSのようにあっさりと負けてしまう。展開次第頼みである危うさがある。
レッツゴードンキ
2走前のヴィクトリアマイルで6着、AP指数80をマーク。ヴィクトリアマイルのAP指数で比較すると昨年の69から大きく上昇。今年は大きなレースが多く、着順だけみれば昨年より低下しているように見えるが、AP指数でみると上昇しており、馬自身は充実期に入っている。
当馬が好走するときは岩田騎手が得意とするイン差しが出た時で、中から外に持ち出して差しに回るときは戦績が低下する。昨年のスプリンターズSはうまく内を抜いてきて2着、一昨年は12番枠が響いて隊列が1列後ろになり最内を回して届かず9着。内目の枠の方が好走率は高い。
休み明けのキーンランドカップは外を回して伸びきれず5着。勝負どころの反応が鈍く、休み明けの影響が出た印象。どこまで上昇してくるかだが、楽しみな一頭。
ナックビーナス
前走のキーンランドCで初重賞制覇、AP指数66をマーク。生涯戦績でAP指数の最高値は75と、このメンバーに入ると少々見劣る数値。
しかし、今年に入ってからの戦績は安定しており、高松宮記念でもAP指数、推定SPいずれも下位ながらも3着に飛び込んだ。常に指数が低く出てくるので、難解な馬である。
持ち時計がメンバーの中で劣るので多少時計のかかるレースになる方が良いが、今中山開催の芝コースの馬場差は速い方に出ており、適性が合わない馬場ではある。
ラブカンプー
前走のセントウルSでファインニードルの2着、AP指数64をマーク。AP指数の最高値は67とまだまだ発展途上の3歳牝馬。重馬場の阪神芝コースで前半33.3秒の出脚はすばらしく、今年開催された阪神芝1200mの前半タイムでも1番速い。
しかし、快速ゆえ推定FPは高く出るだろうが、AP指数、推定SPが伴わなさそうで消し条件に該当する可能性が高い。当日の指数には注目したい。
鞍上がデムーロ騎手から誰に変わるのかも注目だが、いずれにしても乗り替わりはプラス要素にはならない。
レッドファルクスの3連覇に注目ですが、とにかく候補を絞り込むのにも難解なレースになりそうです。ラブカンプーとワンスインナムーン、ナックビーナスと先行勢がやりあう展開になりそうで、差し馬にもチャンスはありそうです。ここまでの実績と適度に馬柱が汚れているレッツゴードンキに注目しています。
それでは今週も競馬ライフを楽しみましょう!
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