4.今回発揮できるAP指数を予測する
前回まででAP指数は算出できるようになりました。それはあくまでも、そのレースにおけるパフォーマンスを指数化したものにすぎません。
重要なことは購入しようとしているレースでどのようなパフォーマンスを発揮できるか(と見込むか)です。今回は、AP指数の予測について紹介していきます。
『AP指数』とは?シリーズ一覧
AP指数が他の指数と大きく異なる点
まずは分かりやすい例を紹介します。サンプル馬は、5歳牡マッカトニーです。当馬の2018年1月28日中京ダ1800m戦のAP指数の変動を見ていきましょう。
[5月28日京都ダ1800m戦出走時]
AP指数78で、京都ダ1800m戦の基準AP指数を超えている赤色表示です。
[3月17日中京ダ1400m戦出走時]
AP指数70と京都戦の時よりも低下しました。これは中京ダ1400m戦で発揮できるパフォーマンスが落ちるためです。
[2月17日小倉ダ1700m戦出走時]
小倉戦ではAP指数67とさらに低下してしまいました。小倉ダ1700mが中京ダ1800mとは関連度がさらに低いためです。
ある意味、当たり前です。マークしたときの条件から変わっていれば、発揮できるパフォーマンスに差が出ます。
これが従来の指数と大きく異なるAP指数の強みです。
従来の指数では、ユーザーが今回どれくらい発揮できるかを予測しなければなりませんでした。しかし、そんなことができるユーザーはほとんどいません。そのまま使ってしまいます。私がそうでした。
では、どのように予測していくのか?基本的な考え方はこのようになります。
AP指数は同じ数値ならば、同じ確率で走るように調整されています。つまり、数値の単純比較ができるのです。これがAP指数の大きな強みなのです。
コース違いによる変動
では、実際の補正の方法を紹介していきます。
数値で比較する以上、1ポイントでも高い方が好走率が高くなるべきです。この考え方に基づき、次のような手順で好走率をそろえる補正値を算出します。
手順① 過去の全レースのAP指数を算出する
過去10年の全レース、全馬のAP指数を算出します。算出方法はこれまで説明してきた手順になります。
手順② 基準条件のAP指数別複勝率特性を算出する
例えば、基準条件を阪神ダ1800m 3歳上500万下とし、次走以降の同条件の馬の戦績をまとめます。基準条件を使った馬がマークしたAP指数を算出し、次走以降の同条件を走った時の戦績を一覧化します。
馬 | AP指数 | 同一条件戦績 |
---|---|---|
A | 67 | 3 |
B | 52 | 7 |
C | 68 | 1 |
D | 65 | 2 |
E | 59 | 6 |
F | 62 | 6 |
基準条件の基準AP指数が60とすると、基準を超えたのは、A、C、D、Fの4頭となります。この4頭の戦績は1-1-1-1。
次にAP指数に補正値を加え、戦績がどのように変化するか算出していきます。
補正値+1を入れると基準AP指数越えは、A、C、D、E、Fとなり、5頭の戦績は1-1-1-2となります。複勝率は下降します。
逆に補正値を-3とすると基準越えからFがはずれ、1-1-1-0となります。複勝率は上昇します。
この要領で横軸に補正値、縦軸に複勝率を取り、基準条件の複勝率特性が次のように算出されます。
補正値を加えていくと右肩下がりに複勝率が低下していくことが分かります。
手順③ 層別条件の補正値を決める
次に手順②と同じように層別条件のAP指数別に基準条件での戦績をまとめます。
馬 | AP指数 | 基準条件戦績 |
---|---|---|
P | 67 | 4 |
Q | 52 | 7 |
R | 68 | 1 |
S | 65 | 3 |
T | 59 | 6 |
U | 62 | 6 |
基準条件の基準AP指数60から、基準超えは、P、R、S、Uの4頭、戦績は1-0-1-2です。
層別条件では同じ指数でも基準条件での戦績に差が出ていることが分かります。
同じように基準AP指数に補正値を加え、補正値-複勝率特性を算出します。手順②で出した基準条件の特性と重ねてプロットしたものが次のグラフになります。
層別条件の京都は青、基準条件の阪神は赤で示しています。
この2つの特性から基準条件と層別条件の複勝率をそろえる補正値を算出します。
補正値の算出には右肩下がりで複勝率特性が下がっていく箇所に着目していきます。これは単純に基準AP指数超えの母数が増えるため、信頼度が増していると考えたためです。
この特性部に着目すると、同じ補正値の場合、基準条件の阪神コースよりも、層別条件の京都コースの方が複勝率が高いことが分かります。
つまり、京都コースでマークされたAP指数の方が、阪神コースでマークされたAP指数よりも阪神コースでの信頼度が高くなっていることを示しています。
これを同じ複勝率になるように補正値を決めます。
複勝率45%を見たとき、阪神は補正値+9、京都は補正値+12となります。つまり京都コースの補正値を-3とすることで特性がそろってくることになります。
この要領で、各コース・条件別に補正値を算出します。
あとは、レース条件に合わせて過去走のAP指数に補正値を加えることで、今回発揮できるAP指数の算出ができるということです。
やっていることは非常に単純ですが、自動化できていないため、おそろしく手作業に時間がかかることが難点です。その代わり、この煩雑さがAP指数の他の指数に対するアドバンテージにもなっていると言えます。
人の行く裏に道あり花の山
『AP指数』とは?シリーズ一覧
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