1.スピード指数の弱点
競馬予想においてスピード指数は万能ではない。
スピード指数を予想に使っていた頃、
ふとそんなことを考えたことがキッカケでした。
AP競馬新聞の武器である『AP指数』はどのような理論で算出されているのか、従来の指数と何が違うのか、ここではそれらを紹介していきます。
『AP指数』とは?シリーズ一覧
基準タイムの決め方
スピード指数の算出式は以下のようになります。
スピード指数= (基準タイム-走破タイム)×距離指数+馬場指数+(斤量-55)×2+80
基準タイムとは、各競馬場で500万下と1000万下のレースの1~3着馬のタイム平均を求めて、さらに平均したものとあります。
タイム差に着目することで、どれだけ速く走ることができるかを指数化しています。
つまり、
基準タイムはスピード指数の根幹であり、基準タイムの正確さがスピード指数の正確さを決めている、と言っても過言ではありません。
ここでひとつ仮説を立ててみます。
基準タイムよりも速く走り、次走同じコースを走った戦績は、東京ダ1600mと中山ダ1800mで差はない。
検証するまでもなく答えは予想できますが、検証結果は次のようになりました。
[東京ダ1600m 3歳上500万下]
集計期間:2013.10. 5 ~ 2018. 2. 3
—————————————————–
クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率
—————————————————–
500万下 9- 1- 4-13/27 33.3 37.0 51.9
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[中山ダ1800m 3歳上500万下]
集計期間:2013. 1.20 ~ 2018. 4.15
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クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率
—————————————————–
500万下 4- 4- 4-14/26 15.4 30.8 46.2
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複勝率で見ると5%程度、東京ダ1600mの方が高くなりました。
走った馬が異なりますが、少なくとも仮説は否定できました。
この差の要因は、
基準タイムの元データとなる走破タイムにノイズが含まれる
ことが大きいと考えられます。
この場合のノイズとは馬場状態や、コース取り、道中の不利など、タイムに影響するレース因子になります。
基準タイムにノイズが含まれるため、精度が落ちてしまうと考えました。
基準タイムを各競馬場の500万下と1000万下の合算としているため、クラス比率が各競馬場で異なります。
先ほどの東京ダ1600mと中山ダ1800mを例にとってみます。
[東京ダ1600m]
500万下…52頭
1000万下…18頭
[中山ダ1800m]
500万下…63頭
1000万下…34頭
2つのコースでは500万下と1000万下の比率が大きく異なることが分かります。
500万下と1000万下では出走馬のレベルが大きく違います。
1000万下の比率が増えるほど、平均タイムから算出している基準タイムも速くなるはずです。
つまり、
異なるクラスをサンプルにする時点で精度が落ちている
と考えられます。
レース中の不利を補正していない
基準タイムを決める時も、指数を算出する時も、スピード指数はレース中の不利は加味されていません。
競馬新聞の過去走欄にある不利も3角で進路が開かず不利も加味されません。
スピード指数は、
基本的に一番先着した馬が最も高い指数になります。
2着馬よりも強いレースをした5着馬や、めぐまれて着順を上げた馬を見抜けない
レース予想において重要なことは、
着順が悪くても、着差がついていても、次走で好走する馬が見抜けるかです。
私はスピード指数は弱点を補い、解消する改善を行えれば、より実戦的で使えるものにできると考えました。
キッカケはふと考えたことからでした。
競馬予想においてスピード指数は万能ではない。
既成のものをありのまま受け入れるのではなく、
論理的に検証しながら納得して使う。
納得できなければ、変える。
そういう姿勢こそが大事だと思います。
『AP指数』とは?シリーズ一覧
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